環境活動・ISO14001

つばさ総合高校は2004年3月に都立高校で初めてISO14001の認証を取得しました。
環境教育、省エネルギー、ゴミの削減などに生徒・教職員が全員で取り組んでいます。

「第8回高校生環境サミット」報告・2

(報告1より続く)

=パネルディスカッション=

 今年は各高校の代表をパネリストに、会場全体を含めたディスカッションを用意しました。
 基調講演を受け、テーマについてより広く、より多様な意見などを交換し合う場です。
 これまでは、午後に別室で参加校代表が議論をして「宣言」をまとめ、これを閉会式で紹介・承認してきました。が、「代表生徒がパネル展示を一切見られない」「代表生徒以外はテーマについて意見交換ができない」という問題点があることから、今回はパネルディスカッションを試みることにしました。
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 今回参加の7校から、代表生徒が一人ずつ登壇。
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(左から、隅田先生・工学院大附属・実践学園・米子南・つばさ総合・慶応湘南藤沢・早稲田高等学院・都立科学技術)

 講演への質疑を兼ねていることもあり、隅田先生にも引き続き座っていただく中、まず順に、基調講演について一言ずつ。
 工学院大附属、実践学園、つばさ総合・・・と、講演内容を素直に受け止める立場での感想・質問が続きましたが、その中でも鳥取・米子南からの、
「学校があるのは島根原発の30キロ圏内。みんな率直に不安を感じている」
という報告には重みがあり、会場内の静かな注目を集めました。
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 が、その直後、慶応湘南藤沢の代表が「議論」の口火を切ります。
「講演は放射線の危険性についても、そして原発についても非常に慎重な立場からのもの。そこにとらわれず、違う立場からもどんどん発言すべきだ」
 こう前置きした後で彼は原子力発電への考え方を切り出し、「減らしていくべきだが、徐々にならざるを得ない」という立場が語られました。
 これを機に話題は、原子力発電自体に対する考え方へ。
 続く都立科学技術、早稲田高等学院の方も「減原発」の基調で原発をメインに発言しました。

 ここで会場にマイクが向けられます。いくつかの立場からの発言や隅田先生への質問がありましたが、
「福島も、そして(同じく東京のために発電をする)新潟の原発も東京電力の管外に建っている。どんな立場の人も、その事実を踏まえて議論を」
どちらの生徒さんだったでしょうか・・・この発言に会場はもちろん、壇上の各位も顔を引き締めます。
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 これらも踏まえて、ふたたび壇上でのディスカッション。
「『これから』の話だけではなく、なぜ、どのようにして原発が進められ、そして地方に立地してきたのかなど、過去を学ぶ必要もあると思う」
 といった問題提起が聞かれる一方、
「途上国の中には『人々の生活のために、何でもいいから今後もっと電気が必要』という国もある」
として、だから日本の現状と原発の輸出とは分けて考えるべきだ、という意見も・・・これはちょっとした議論を呼びました。
 また、
「震災の時、『何が起きているのか』が伝わって来ないために何も考えられず、それが怖かった。こういうことが一番困る」
というように、原発自体だけでなく、原発をめぐる社会の枠組みへの問題意識にも話が及びました。
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 ・・・こうした論点について、会場からの意見も交えて議論が続けられ、気がついたら予定時間(50分間)の終わりが目前になっていました。
 最後に各パネリスト、そして隅田先生から、一言ずつまとめの発言。
 それぞれの持論についての「まとめ」だけではなく、「他の人の考えが聞けてよかった」「時間が足りないぐらいだったが、今後も色々な人と意見を交わしていくことで代わりにしたい」など、討論することの意義や周囲への感謝も述べられました。
 降壇の前後にはパネリスト同士、あるいはパネリストと参加者の間で、「いつかまた続きを!」と声を交わす姿も見られました。
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 アンケートでは、会場の参加者からも「色々な考え方を聞けて参考になった」「面白かった!時間が少なくて物足りないぐらい」という声が多く寄せられるなど、回答者のほぼ全員がよい評価を下さっています。
 ただ、好評だったにせよ、また結論を出すのが目的ではないにせよ、たしかに論点が出揃ったところで終わってしまった感じはあり、時間不足でしたね。
 とはいえ他のメニューとの兼ね合いもあり、時間の増加はなかなか難しいところです。
 討議の対象をあらかじめ絞っておくなど、企画でカバーする方が現実的でしょうか。

 なお、「今年は『宣言』がなくて淋しかった」というご意見には冒頭でお答えしましたが、たしかに宣言文のような整った「成果物」を確認し合えないのは、締まりを欠く感じはしますね。
 宣言の採択と全員でのディスカッション・・・どちらがよかったかの結論を早々に出すのは避けますが、多くの、そして多様な立場での発言が聞けた一時間弱は、すべての参加者にとって有意義だったと信じています。

 さて、次回はようやく、午後の部の報告です。

【つづく】
高校生環境サミット | - | -

広報紙「USO800」・49号

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 12/15~17の「エコプロダクツ2011」で、つばさのブースへお越しいただいた皆さん、ありがとうございました。
 多くの皆様にご覧いただけ、生徒ともども感謝感激です。
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 さて、生徒発行の広報紙「USO800」の49号を発行しました。
 というか実は先月末に発行されていて、こちらの掲載遅れです。すみません。
 かたや、一大行事・環境サミットから10日後の発行というのには生徒の力を感じます。

 【画像をクリックすると拡大します】
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 表面は「ウォームビズ」の呼びかけ。
 生徒の今月の目標は『寒かったら「あと1枚」』ですが、「衣」だけじゃなく「食」「住」についても一工夫を呼びかけ、家庭でも実行できる内容になっています。

 そして裏面は「高校生環境サミット」の速報記事。
 テキストは短めですが要点を踏まえていて、また写真を多く使ったことで雰囲気がよく伝わります。
 ・・・当ブログもサミット報告の連載、頑張ります。すみません。
広報紙「USO800」 | - | -

「第8回高校生環境サミット」報告・1

 すっかり遅くなってしまいました(汗

 11/20(日)に行われた「第8回高校生環境サミット」。
 その様子を連載で報告していきたいと思います。
 ・・・いちおう、2か月ぐらいで完結させる目標です(苦笑)
 なお、つばさの広報委員による取材記事が同委員会のブログ「Tsubasa Life」に掲載されています。

【開会前後の風景より】
s8_start1 s8_start2 左:雨上がりのサミットでした。右:準備万端で開場を待つ正門

=基調講演=

 福島の原発事故を機に問題となった、エネルギーと放射能汚染の問題。これを今回のテーマにすることは、夏に参加校の有志生徒で相談して決めました。
「『危険だ』『安全だ』という断片的な情報が飛び交う中で、冷静に知識を得て、その上で考え・行動したい」
 そんな思いが、その理由です。

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 それに沿って、基調講演には高木学校講師の隅田聡一郎先生をお呼びし、「私たちのエネルギー~電力と放射線の『今』を聞く」と題して一時間ほどお話をうかがいました。
 高木学校というのは、核物理学者の故・高木仁三郎さんが創設した「市民科学者」を育てるための講座です。ご自身も大学院で勉強中という25歳の先生ですが、放射線が人体におよぼす影響を十分に、しかも高校生に合わせた形でお話しいただけました。

s8_kouen1 まず、核分裂の説明を軸に原子力発電のしくみをおさらいし、「80種類ほどの放射性廃棄物が残り、多くは発電所に貯められている」という他の発電方法にはない特徴を確認。
 その放射性物質から出る放射線は、光のように体の表面だけに「当たる」のではなく、体内を「通過する」こともここでは強調されました。
 そして本題の「放射線が人体におよぼす影響」に入っていきます。高校の生物の教科書を読み直して、高校で学ぶ範囲を確かめながら講演内容を練ってきて下さったそうです。
 細胞分裂とともに細胞核にある遺伝子が正確に複製され、それが私たちの体を正常に保っている・・・それをビジュアルにおさらいしてから、よく話題になる「ミリシーベルト」という単位の話へ。

「すべての細胞核に、平均して1本の放射線が通過する=1ミリシーベルト」
 これが、その定義です。

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 つまり「1マイクロシーベルト」は1,000個のうち1個だけを通過することになります。1,000個に1個ぐらい当たっても平気そうな気がしますが、そう単純ではないようです。
 まず先生は、放射線が持つ、遺伝子の鎖を壊し、複製をしづらくする性質を紹介。
 続いて、大量の細胞が一度に高い放射線を浴びる(高線量被曝)と複製自体ができなくなり、短期間で死に至ることが、99年の「JCO事故」の資料も使って示されました。s8_kouen4
 一方、少量の放射線をじわじわ浴びる(低線量被曝)場合も、鎖が壊されることに変わりはありませんから、遺伝子の正確な複製がさまたげられ、それが異常な細胞の増殖=ガンなどにつながっていく可能性があります。
 その確率は放射線量=鎖が壊される回数に比例するので、微量だから確率ゼロとはならない・・・のだそうです。

「一般人の許容被曝量:年間1ミリシーベルト」

 つまり、よく聞くこの基準は「これ以下なら絶対安全」(しきい値)という意味ではなく、「(これ以下でも)数値に応じて低くはなるが危険性はある」ということになります。
 日本の安全基準が前者の考え方に基づくのに対し、国際基準は後者の考え方(特に欧州は内部被曝も加味したより慎重な基準)で、これも欧米がより深刻に福島の事故を受け止めた根拠のようです。
 そして、どのぐらいの線量でどんなことが起こり得るかが表で示され、説明されました。これによると、福島県で設定された年間20ミリシーベルトはもちろん、年間1ミリシーベルトも「大丈夫」とは言えないようです。

s8_kouen5 結びに、福島県・中通り地方の人々がどう受け止め、対処しているかを取材したテレビ番組の映像を見ました。
 用心したり、あるいは割り切って安心していたりする人々の姿がありましたが、映像の後で、先生はチェルノブイリ周辺の避難基準と比較しながら、
「映っていた場所は、チェルノブイリなら強制避難か、希望すれば避難先や避難のための資金が受けられるレベルのエリア。そんな場所に日本では人々が住んでいる。正確な情報を出さない、知らないということが何を招くかを皆さんにも考えてほしい」
というお話をして、講演を結びました。


 アンケートでは、ミリシーベルトの定義や許容限度に関連する部分を中心に、
「ためになったけど、驚いた」
「知らないのに誰にも聞けなかったことを、分かりやすく教われた」
 といった声が多く寄せられた一方、
「『ホットスポット』や食品から検出される放射能など、東京でも身近な話題にも触れてほしかった」
 という指摘もありました。
 また、「テレビ番組を流さなくても・・・」というご意見がありましたが、番組は適当に選んできたものではなく、出てきた場所や取材先は隅田先生も活動の中でかかわりを持ち、状況を知っているので引用したとのことです。

 そして、アンケートよりももっと率直な意見や疑問、あるいは切実な思いが、この後の「パネルディスカッション」で高校生たちから出されます。
 というわけで次回は、パネルディスカッションの報告です。


【つづく】
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